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by venuscolor
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韓国少子化事情

韓国少子化事情_a0026847_02951.jpgたまにはまじめな話題をご提供。

少子化問題に揺れているのは日本だけではない。
お隣り韓国では、むしろ日本よりも少子化問題が深刻となっている。

保健社会研究院が昨年実施したアンケート調査によると、「必ずしも子供を産む
必要はない」と答えた女性が実に44.9%だったという。ちなみに1991年には
8.5%。わずか12年の間に、育児の意味と家庭のあり方に関する認識にどれほど
大きな変化があったかを見せつける資料だ。しかも、1991年など、ほんのつい
この間のことだ。

昨年の韓国の推定合計特殊出生率(可妊女性1人が出産する平均新生児数=
1人あたりの出生率)は1.17人。現在の人口をギリギリ維持できる2.1人は
もちろんのこと、日本の出生率の1.32人よりも割り込んでいる。このままのペースで
いくと、韓国の人口は2017年の4925万人を最後に急激に減少し、2100年には
現在の人口の約1/3水準の1621万人にまで減少するであろうと推測される。
これは統計庁推定の2310万人よりも700万人ほども少ない。

問題は出生率低下のスピードだ。1970年に4.54人だった出生率が1980年には
2.83人、1990年には1.59人に急落。先進諸国が「高齢化社会」(65歳以上の
人口が7%を上回る社会)から「高齢社会」(同人口が14%を上回る社会)へと
変化するのにかかった期間は、約40年から115年。しかし韓国では、2000年に
「高齢化社会」となり(7.1%)、このままではわずか18年後の2018年には
「高齢社会」になる計算だ。ちなみに我が日本は、1970年に「高齢化社会」となり
(7.1%)、24年後の1994年に「高齢社会」となっている(14.1%)。

現在韓国は、高齢者1人を扶養するのに必要な経済活動人口は9人と見られている
が、20年後にはその比率が「1:4」となると予測されている。1:9から1:4へ。
こうなると国の将来の経済性に危険信号が灯るのはもはや避けられない状況だ。
将来の年金負担額の増額もやむを得ない、と保健社会研究院は見ている。
こうした背景には、(日本にも言えることだが)女性の独立化、結婚年齢の高齢化、
若年失業の増加、さらには現代夫婦の「DINKS」(=Double Income No Kids
<夫婦共働きで子供のいない家庭>)化や婚姻率そのものの低下などが
そのおもな要因であるとされている。「DINKS」に関していえば、収入に余裕がなく
夫婦2人で働く者、また、2人自身の仕事の影響で出産時期を逸する者など、他にも
夫婦それぞれのさまざまな要因があると思われる。いずれにしても、この「DINKS」は
今後も減ることなく推移していくと思われる(むしろ増加の傾向にあるだろう)ので、
少子化に歯止めをかけることは難しいであろう。

こうした現状に政府もようやく本格的に少子化対策へ向けて始動、昨年、大統領府に
「少子化・高齢化対策チーム」を設置、今年始めには出産手当金20万ウォン、
児童手当支給の検討、出産・育児休暇時の代替人材支援など20余りの中長期対策
を発表した。しかしこうした対策は予算がかかる上に短期的な効果でしかなく、根本的
に少子化を食い止める手段にはならないのが実情。このような対策を実施するには
当然 国の予算が必要なわけであって、それを補うのは国民であることに
ほかならないのだ。
こうなると、国の財政を維持するには外国人労働者に依存せざるをえない状況に
なってくるのだが、一方で「北朝鮮との統一化が実現すれば、北朝鮮の若い人口が
生産現場に加わるのでさほど慌てることはない」とする意見もある。しかし、それもまだ
先の見えない不透明な状態が続いており、すぐには解決の糸口はつかめないで
あろう。しかも、北朝鮮の今の経済状態を考えたら、韓国側の少子化を考える前に、おそらく北朝鮮の経済状態の改善を臨む声のほうが先にあがるだろう。

少子・高齢化問題。それを解決するにはこの先いくつもの付随する障壁が待ち構えているようだ。

★参考資料:Digital Chosunilbo(Japanese Edition)’04.3.18,’04.5.27
       asahi.com ASIA NETOWORK ’03.7.30 他
by venuscolor | 2004-06-30 00:31 | Korea